経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト®)は鼻の中へ噴霧する
インフルエンザの生ワクチンです.
当院では2024年から国内承認されたフルミスト®を開始しています.
フルミスト®のメリット
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鼻に噴霧するため注射をしなくてよい
ワクチンといえば注射が一般的ですが、フルミスト®は鼻にスプレーをするだけで済みます。お子さんは注射に抵抗感を持つことが多いですが、このワクチンは針を使いません。0.1mlのワクチン液を両方の鼻に噴射します。
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接種は1回だけでよい
注射のインフルエンザワクチンは、13歳未満のお子さんに2回接種が必要です。しかし、フルミスト®は1回の接種で予防効果が得られます。2回通院する手間が省け、保護者の方にとっても非常に便利です。
・効果が長く、予防効果は注射と同等
フルミスト®の効果は約6か月~1年、持続すると考えられています。また、発症予防効果や重症化予防効果は注射のワクチンと同等と報告されています。
フルミスト®のデメリット
・副反応について
フルミスト®は「生ワクチン」であり、従来の「不活化ワクチン」(注射のワクチン)とは異なります。副反応として、軽い風邪のような症状(軽度の発熱、頭痛、全身の疲労感、鼻づまりや鼻水、のどの痛み、筋肉痛や軽い咳)がみられることがあります。
これらの症状は通常、数日以内に自然に改善します。日本で行われた臨床試験によると、フルミスト®を接種したお子さんの中で38度以上の発熱があったのは約5.9%でした。プラセボ群(ワクチンを接種していなかった群)の3.0%と比べてわずかに高い結果が出ています。しかし、全体的に大きなリスクは少ないとされています。
・接種できない方について
以下に当てはまるお子さんは、フルミスト®の接種を避ける必要があります。
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2歳未満または19歳以上の方
フルミスト®は2歳以上18歳までのお子さんを対象に承認されています。2歳未満や19歳以上の方には安全性が確認されていないため、接種できません。
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重度のアレルギーを持っている方
卵やゼラチンなどに対して重度のアレルギーを持つお子さんは、慎重な対応が必要です。ワクチンに含まれる成分に対してアナフィラキシーの既往がある場合には、事前に医師と相談してください。
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免疫力が低下している方
免疫不全の病気を持っているお子さんや無脾症のお子さん、アスピリン・ステロイドや免疫抑制剤を使用している場合は、フルミスト®の接種を控える必要があります。
注射のワクチンと経鼻のワクチン、どっちが良いの?
予防効果はほぼ同等とされています。
注射が苦手な方で、
鼻がつまっていない方はフルミスト®をおすすめできます。1回で済むのもメリットです。
上記の接種できない方に該当する方、
副反応を懸念される方は注射のワクチンをおすすめします。
日本小児科学会からのお知らせもご覧下さい。
経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方
20240909_keibi_i_vaccine.pdf (jpeds.or.jp)